目的と概要
山陽ふれあい公園総合体育館は、女子バレーボールプロチームの練習拠点や市民イベント開催により、地域住民の認知度が高く、普段から利用率が高い施設です。また、本施設は、赤磐市の福祉避難所に指定されており、災害時に近隣住民の受入を行い、主に復旧までの住民の宿泊、給仕等を想定している施設でもあります。
しかし一方で、福祉避難所に指定されていますが、停電時に空調継続稼働が可能になっておらず、酷暑や酷寒時に停電が発生した場合、避難環境に課題がある状況でした。
そこで、この課題を解決し、同時に省エネ化も実現するため、次の2つを目的として改修工事が行われました。
- 災害時に体の弱い方々を受け入れるため、安心できる福祉避難所として整備すること
- 省エネ機器を導入し、CO2排出量を72.3t-CO2/年(約15%)以上削減すること
弊社は本事業において、導入設備についておよび設計・施工の各段階で助言や確認を行う設備性能検証・評価業務を行いました。この業務の目的は、省エネ改修工事に関し、選定機器の性能を含めた設計の妥当性、工事完了後の機能性能試験、CO2排出削減量の算出について、専門性をもって検証を行うことによって、本事業をより適正に遂行させることです。
導入した技術の概要とCO2削減見込み
本事業では、平時からCO2排出量を削減する省エネ設備の更新はもとより、災害時に福祉避難所として役立つ再エネ・蓄エネ設備の導入も行いました。太陽光発電、蓄電池、自立型GHPといった再エネ・蓄エネ設備を導入し、停電時においても2日以上、照明、空調およびコンセント利用が可能となるように整備しました。これらの整備によるCO2削減見込値は、76.0t-CO2/年となります。
停電状態のアリーナの照明
停電状態のフィットネスアリーナの照明
事業の普及性
本事業で導入したCO2削減と防災減災を両立した最新の技術およびその効果を広く示し、CO2排出量削減の重要性と、福祉避難所としての機能を周知します。
例えば、本施設を利用する市民の方々に対しては、液晶モニターによる表示装置を用いて、発電、蓄電状況や現在のエネルギー使用状況、本設備による省エネ効果や、停電時の避難所としての周知を図ります。
また、本施設だけでなく赤磐市内の他の施設においても確実なCO2削減が可能な設備の導入を進めるために、『赤磐市地球温暖化防止活動実行計画』の改定を同時に行い、CO2削減のための設備更新のスケジュールを策定しました。
そして、次世代の担い手にも今回の内容について知ってもらうために、赤磐市の学校において環境、防災教育の一環として、本施設のCO2削減と防災を両立するシステムの説明を行う予定としています。